人材協について
会長ご挨拶
一般社団法人 日本人材紹介事業協会
会長 林 徹郎
昨年は新型コロナウイルス感染症の第5類移行を受けて、様々な分野での経済活動が再開され、日に日に街にも活気が戻って来ました。一方で、地政学的な国際問題の発生と継続、それに伴う資源・エネルギーや食糧問題、円安傾向の恒常化、物価高など、人と企業を取り巻く環境の不透明な状況が続いた一年でもありました。
わが国の生産年齢人口の減少という構造的な問題の中で、これまでも求人の旺盛なIT分野等に加えて、サービス関連業種でも需要が回復したことを受けて、求人は更に旺盛となりました。大手3社の2023年度上期の人材紹介成約件数においては、2022年同期比123.1%と堅調に推移しましたが、昨年から実施している会員へのアンケート調査「人材協QPI」では、内定辞退者の増加や、事業規模によっては求職者の確保等に腐心しているといった声も聞こえて来ております。
本年は、企業業績の向上に伴い、企業における人材確保の課題は、尚一層重要性を増して来るものと思われます。また、政府が掲げる三位一体の労働市場改革の中で、成長分野への労働移動の円滑化が掲げられ、外部労働市場の活性化に向けて、積極的な労働移動を促進する流れが生まれて来ることでしょう。旺盛な企業の求人ニーズに応えるとともに、個人の適性や志向を充分把握し、適格に両者を結びつける職業紹介事業への期待と要望が、これまで以上に高まって行くものと考えます。
職業安定法に関連する労働条件明示に関しては、本年4月から職業安定法と労働基準法の両施行規則の改正に伴い、募集時・雇用契約時の労働条件明示項目が追加されることとなります。今後も、改正される労働関連法令を遵守し、適正な事業運営を行うことは、職業紹介事業が労働力需給調整機能としての社会的な重要度の高まりとともに、より健全な発展を求められている証と考えます。
人材協では、今年度から「人材紹介ビジネス」の事業価値の向上に向けた紹介事業者の今後のあるべき姿や、人材協のあるべき姿について検討する「未来プロジェクト」に取り組んでおります。議論の中では、雇用仲介事業が多様化し、人材ビジネス間の競争が激化する状況下において、職業安定法に定められる職業紹介事業の規定や考え方が基本的に堅持されるべきであり、「あっせん」の責任と行為主体は「人」と定め、職業紹介事業の展望を描くとともに、AI等のデジタル技術は「人」を支援する重要な機能・ツールと位置付け活用を図るべきものと、方向を定めております。なお、来年度末には「未来プロジェクト」の議論を集大成する予定です。
人材協会員をはじめ職業紹介事業者は、事業運営を通じて実績を積み重ねることで社会的に信用され、適正な事業運営により、更に求職者・求人者からの信頼を得ることが重要であると考えます。人材協は、職業安定法に厳格に定められた許可事業である職業紹介事業者の団体としての役割と責任を再認識し、業界に対する社会からの信頼に応え、職業紹介業界全体の一層の発展に努めて参ります。
2024年1月吉日
一般社団法人日本人材紹介事業協会
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