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会長コラム

2023年01月04日

キャディさんの絶滅危機

ゴルフ場で写真を撮る林徹郎会長

みなさま こんにちは。

暑い秋から一転、寒い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。

今回は写真を見てお分かりの通り、ゴルフの話です。

私は、高校時代はアメリカンフットボールに明け暮れておりましたので、「動かないボールを打つなんて。。。」とゴルフのことは半分バカにしてきたのですが、あるきっかけでゴルフをやらないといけなくなり、はじめてみるとこれがトンでもなく難しい。難しいからとにかくうまくなりたくて、少しうまくなるとさらにうまくなりたくなる、というゴルフ中毒者の正しいサイクルに乗ってしまいました。

さて私のゴルフの話はどうでもいいのですが、近年ゴルフ人口は減少の一途を辿る、、、かと思いきやコロナが追い風となり近年は空前のゴルフブームです。ゴルフ場に若い人も女性もたくさんいらっしゃるようになりました。

しかし、ゴルフブームによってゴルフ場は大混雑、マナーの悪い方も増え、私のホームコースはメンバーなのに予約さえ取れないという有様。さらにここにも人手不足の波は押し寄せており、特にキャディさんが大不足となっています。(キャディさん=ゴルフプレイヤーを助けるアシスタント的な仕事。)

不足している原因は様々ですが、人手不足の原因はおおよそ[1.需要に対する供給不足] か[2.労働対価が正当でない] のどちらかです。

キャディさんの場合はほとんど未経験から育成する職種ですから、この場合は[2.労働対価が正当でない]ということになるでしょう。キャディさんの初任給が年収1千万でしたら大人気職種になるはずです。

そしてサービス業において、労働対価が正当でない場合はその原資を得るべく売価を上げるしかありません。(支出を減らすことももちろんですが)

ただ、価格を上げることは経営者にとって恐怖です。それによって顧客が減り、結果売上が減少してしまっては元も子もないからです。ですから同業界の他社の動向や世の中の動きなどを見ながら少しずつ調整していくことになります。

これを各社が行うと結局お見合いとなり業界の価格上昇はゆるやかになり、結果キャディさんの人手不足は解消せずとなってしまいます。

近年ゴルフ場にもインバウンドの波は押し寄せており、また若い方々の興味も惹いているわけですから、このタイミングでサービスレベルが落ちたりそもそも予約できなかったりするのは非常にもったいない話です。

これはあらゆる業界、特にサービス産業で起こっていることだと感じます。

日本はこれから国際社会で生き残っていくには観光立国にならなければいけません。日本には海洋、山岳、寺社など歴史的建造物、四季の移ろい含め、縦長で狭小な国土に観光資源が無数にあります。この観光資源で効率的に生産性を上げるためにはもっとこの価格戦略を科学すべきだと思うのです。

もっというと、政府の掲げる三位一体の労働改革を実現するにはこの価格戦略のコンサルティングに力を入れるべきだと感じます。そもそも日本は鉄道でも映画館でも飲食店でもほとんどダイナミックプライシング(変動価格制)が導入されていません。ヨーロッパの鉄道などは繁忙期は価格が普段の5倍になることもあります。こういった価格戦略がないことも日本産業の生産性が低い一つの理由だと思われます。

話はまたゴルフに戻りますが日本は世界でも有数のゴルフ大国です(ゴルフ場数は米国に次いで世界第2位!)。この素晴らしい資源がこれからの日本の観光の目玉の一つとなるように、世界中からゴルファーが集まるように、そしてプロフェッショナルなキャディさんが脈々と受け継がれていくようにプライシングの改革を願ってやみません。

そして人材紹介事業にも、同様のヒントが隠れているように思います。

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